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国別に見るスーツの流行〜ヨーロッパ

全世界で共通に着用されているメンズスーツ。
メンズスーツはその国や地域によって、様々な影響によりその特徴や流行は変化します。
ここではヨーロッパのメンズスーツの成り立ちや特徴をご紹介しましょう。

ヨーロッパ スーツの成り立ち

メンズスーツはブリテッシュ・スタイル、イタリアン・スタイル、アメリカン・スタイル、ヨーロピアン・スタイルと大きく4つに分類されます。中でもブリテッシュ・スタイルが最も長い歴史を持っており、世界のメンズファッションに影響を与えた現在のすべてのスーツの原型とも言えます。

ヨーロッパで現在のスーツの直系モデルが誕生したのは、18世紀後半のフランス革命後から産業革命へと移り変わるわる頃で、ブルジョワの間で着用されはじめたと考えられています。ヨーロッパでも、イギリスだけは独自の文化を築いていたので、服飾でもヨーロッパ大陸とは異質な特徴をもっていました。
その特徴は新大陸時代から始まり、世界経済を攻め続けていた事にあり、スーツの成立もその背景と無縁とはいえないようです。世界貿易に関連する経済活動が活発なイギリスではブルジョワの台頭が他のヨーロッパ諸国より早く、スーツのスタイルもイギリスが最も早かったと言えます。

現在のスーツの形になったのは20世紀初頭位からでした。ネクタイもそれまでのボータイに代わって結び下げ式の幅タイがビジネスにも多く取り入れられたのはこの頃です。それ以前の政界や財界の重要人物が着ていたのはフロックコートやモーニング等が中心で現在のスーツはインフォーマルだったようです。
スーツの元祖である正統派スーツはスリーピーススーツであり、貴族紳士のたしなみとされていました。現在のメンズスーツフもイギリスの要素を含むものが多く出回っているように、スーツの起源でありメンズファッションの基本を築いてきた国はやはりイギリスとされます。
そして生まれたのがブリティッシュ・スタイルなのです。

ブリティッシュ・スタイルはパットを用いてカッチリ仕上がるスクエアーショルダースタイルで、肩幅とウエストは若干絞り込んだタイトめ、胸元の厚みを強調した男性的なシルエットを意識しているのが特徴です。
サイドベンツと高いウエストポイントも現在のブリティッシュスタイルの特徴です。
スーツの色は紺やダークグレーがベースとなり、英国紳士の精神が現代にも受け継がれています。

英国以外のヨーロッパスーツの伝統

ブリティッシュ・スタイルが現在のスーツのルーツだとすれば、メンズスーツのファッション文化を育て上げたのがイタリアン・スタイルです。イタリアのスーツ職人たちは、色使いや細かなお洒落心で男の色気を引き出していきました。従ってイギリスと共にイタリアが世界のメンズファッションに影響を与え続けたと言っても過言ではありません。現在のスーツの原型はイギリスから始まり各国でカスタマイズされていったと言えます。

まずはイタリアのスーツの歴史から紐といていきましょう。かつてイタリアはさほど裕福な国ではありませんでした。そのためイタリアの労働者達は、ヨーロッパの各国で出稼ぎ労働者として働き、そこで技術を身につけたイタリア人は自国に戻り、身につけた技術で商売を始める事になったのです。ここから現在のイタリアの服飾や革製品の伝統が生まれました。それは現在にも受け継がれており、イタリアは過去も現在もヨーロッパの文化の頂点にあるのは言うまでもありません。

イタリアでは1950年代に「コンチネンタルルック」が流行しました。「コンチネンタル」とは「ヨーロッパ式の」という意味があり、フランス・イタリア・ドイツなどの紳士服におけるヨーロッパ調のファッションスタイルのことを呼びます。自然な肩のライン、丈が短めでサイドベンツのジャケット、ベルト無しのスリムなパンツが特徴的です。1960年代以降からは個々のデザイナーによるデザインが多種多様となり、さらに華やかさが加わりました。

では、フランスのスーツの歴史はどのようなものでしょうか。
ファッションの都とも呼ばれるフランスのフレンチ・スタイルは、個性的且つ流行的で女性色の強いスーツであるというのが特徴です。タイトさが特徴のブリティッシュ・スタイルと、イタリアン・スタイルの柔らかさを織り交ぜた中間的なスタイルといったところでしょうか。
その理由として、フランスはヨーロッパの流通の要として、周辺の国々から文化や人材が流れ込んできました。イギリス・イタリアという2大産地に囲まれ、両国の特徴を巧みに取り入れたことが考えられます。また、レディースファッションではパリコレを筆頭にフレンチファッションが世界の頂点であることも影響しているのではないでしょうか。

ヨーロッパ人にとってスーツとは

ヨーロッパ人にとってスーツは、ビジネスはもちろんのこと、あらゆる分野でフォーマルな標準服になっています。現在のスーツの原型はイギリスから始まり、次第にヨーロッパへ広がっていったという歴史からおわかり頂けるように、スーツを着こなすためには、ヨーロッパの歴史や文化を学び、理解する必要があるのではないでしょうか。

今現在、着用されているスーツのには各部位によって、昔の名残り独特な呼び方をされています。例えばジャケットのラペル(下襟)に付いている穴はどのような意味があると思いますか?
これは「フラワーホール」と呼ばれ、かつての英国でここに花を挿して飾ったことが由来とされています。もともと襟を立てて着た時のボタンホールの名残りなのです。
また、ジャケットの背中の切れ込みを「ベント(馬乗り)」と呼ばれます。これはかつて背中の裾に切れ目があることで、馬に乗りやすくするために考案されたものなのです。

また、防寒のために襟を高く詰衿にした形の名残が、現在のメンズスーツの元になっています。かつてイギリスの軍人はくつろぐ時に詰襟のボタンをはずし両側に開いていました。こが次第に丈が短くなり、現在のスーツ衿の形になっています。

このようにヨーロッパでは様々な遍歴を経て、現在のメンズスーツの形が確立されました。かつての名残りとして呼ばれている面白い名称等を知ってみると、普段着なれているスーツもまた違った目線でみることができ、歴史も身近なものに感じられるのではないでしょうか。どのような精神の元になぜスーツを着るのか、現在のスタイルに至ったのかが理解できるはずです。

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